2014年4月13日日曜日

家庭のデジタルデータの長期保存の本命 [DVD-Rの寿命は短い]

家庭のデジタルデータについて、保存方法による寿命の議論があります。

そのような議論を読んだことがない人は、

デジタルデータ 寿命

などのキーワードでgoogle検索してみてください。

デジカメやデジタルビデオが普及し、我々は多くのデジタルデータを保有するに至りました。
中には写真はスマホの中に入れっぱなし、という人もいるでしょう。
一度パソコンに移動させた上でDVD-Rなどの光学メディアに記録して保管しておく、という人も多いはずです。

登場した当初、CD-RやDVD-Rは、記録後十分に長い期間、データを保持すると想定されていましたが、現在はそうではありません。
レコード店で販売されている音楽CDや、ハリウッド映画の正規版DVDのような「プレス」という工程で作られたものの寿命は長いのですが、パソコン等で記録可能なDVD-R等は劣化が激しく、数年で読み出し不能になる可能性があります。

この寿命は、記録のしかた(利用したDVDレコーダの性能や書き込み速度も含む)や
メディアの保管状況、そもそものメディアの質などで大きく左右されるようですが、
すべてが最善であったとしても、どうも長期保存には向かないようです。

よって、もし失われた場合、世界中どこを探してももう再び手に入る事のないデジタルデータ
(子供の写真やビデオなど)の唯一の保存方法としてDVD-Rを選ぶのは危険と言えます。

この問題が提起されてから、「ならばどのように保管すれば良いのか」という議論があちこちでなされました。

これらの議論は、先ほど検索していただいてhitしたサイトをいくつか見ていただければ良いでしょう。

その結果、デジタルデータを保存するにあたっては、メディアの寿命だけではなく
1.火災、震災等に遭った場合にも喪失しないよう、離れた場所にバックアップを置く
2.将来、読み出すためのハードウェアがなくなる可能性を考慮する
今、昔のVHSテープが物置から出てきても、再生する機器はなかなか手にはいりません。
3.将来、記録したデータ形式を扱えるソフトウェアがなくなっている可能性を考慮する
昔PC-98シリーズ等で作った専用ファイル等、今では扱いにくくなっています

等、考慮しなければならない点が多く挙げられました。
 その結果、
「異なる複数のメディアにバックアップを保存し、一定期間毎にさらに新しい規格のメディアにコピーしていく」という恐ろしく煩雑な方法が推奨されるに至りました。

何らかのオンラインストレージに保存しておく、という方法もあります。
今はどうかわかりませんが、従来、インターネットプロバイダは一定容量のディスクスペースとFTPサービスを顧客へ無料提供していました(ホームページ公開目的)。
これの非公開スペースを使えばよいのです。

これは少なくともメディアの寿命を気にする必要がなく、 通常の家屋より火災や震災に耐えうる施設に格納されている事を期待でき、特定のハードウェア規格に依存するわけでもない方法でしたが
手軽に高画質動画を撮影できるような時代には容量が追いつきませんでした。

クラウド時代が到来すると、大容量のオンラインストレージが低価格、または無料で登場しましたので、
これらが解決策になるやに見えました。
しかし、無料サービスは継続性の観点から問題があり、実際複数の有名サービスが既にサービスを停止しました。
また、低価格なサービスはセキュリティ上の安心感がなく、実際に情報漏えい等の事件を起こしました。
そもそも個人向けクラウドサービスは、企業側の個人情報収集と結びついていたりするケースも多く、
玄人の中には「クラウドなんて信用できないものは使わない」というポリシーの人もいます。

それに、大容量といっても大抵は制限があり、それを超えると結構な料金となるサービスが多いのです。

ここまで前置き。
前置きが長いのは悪い癖です。ようするに、これらを解決するサービス。

Amazon Glacier
https://aws.amazon.com/jp/glacier/?nc1=h_ls

これはクラウドサービスです。しかし、個人向けのそれらとは違います。
これは、大企業や政府機関を顧客として想定したサービスです。

光学メディアの信頼性が無いため、銀行や政府機関は重要なデータを今でも
テープメディアにバックアップし、管理しています。これは膨大な数で、バックアップ、保管、管理するだけでも膨大なコストが発生します。

テープメディアは光学メディアと比較して信頼性、寿命で勝りますが、読み出すのが大変(遅い)という欠点があります。
バックアップデータというのは、元データが生きている限りアクセスしないで良いので(もしかしたら永遠にアクセスしないかもしれない)、この欠点はあまり重要ではありません。信頼性こそ重要です。

Amazon Glacierは、このバックアップの仕組みを、ごっそりAmazonが引き受けるサービスです。
膨大なデータを、安全に、長期間保存するサービスです。
対象顧客と対象データを見ていただければわかりますが、データを失わない事、データを漏洩させない事については極めて徹底されています。
また、テープメディアでの保管をやめてAmazonに保管する事を決断ほどの低コストでなければなりません。

巨大組織向けの、そんな高度なサービスですから、高額な費用を想像されるでしょう。
しかしそうではありません。

保管費用は、1GBあたり、約1円/月です。

個人向けのオンラインストレージの費用の比較サイトがありますので、これらと比較してみてください。
http://matome.naver.jp/odai/2137783372594235801

一部のサービスは、定額で容量無制限であったり、一定容量まで無料であったりします。
これらにはそれぞれ長所と短所がありますが、個人向けサービスであり、
数十年といった長期のデータ保存を想定した作りではないと思います。

Amazon Glacierはとにかくデータを失わない事を重視しています。
データは強固なデータセンターで扱われ、かつそのデータセンターの中でもバックアップが取られています。
利用者は世界中のAmazon Glacierデータセンターの中から、保存したいデータセンターを選択できます。
日本のユーザであれば、東京を選ぶより、海外のデータセンターを選ぶべきでしょう。
そうすれば、仮に東京が直下型地震で壊滅し、強固なデータセンターさえ崩れ落ちたとしても安心です。

Amazon Glacierは良いところばかりではありません。
まず、これ程の長所を持ちながら低い保管コストでサービス提供できるのには理由があるのです。
保管したデータは、基本的には、めったに引き出さないデータである事が前提になっています。
Glacierとは氷河の事です。氷河の中に閉じ込めたように、長い間保管することは可能だけども気軽に取り出すことは難しいのです。

具体的には、データの保管は上述のように1GBあたり約1円/月で、アップロードにも費用はかかりませんが、
ダウンロードには費用がかかります。一定の無料枠がありますが、それをアテにするのはやめてください。
また、この料金計算は非常に複雑で分かりにくい仕組みですが、基本的に、多くのデータを短時間のうちにダウンロードすると高額になる、という考え方です。
預けているデータの5%までが毎月の無料ダウンロード枠なのですが、これを1日で利用する事はできません。1日に無料でダウンロードできるのは、これを更に日割りした容量です。
さらに1日を細かく区分してあり、その中での相当容量までが無料で、それを超えたら有料、という仕組みです。ただし、バカみたいな金額にならないようにはなっています。

頻繁にダウンロードするようであれば、AmazonはS3という別のサービスを用意していますが
当然より高額です。

また、Amazon Glacierは、思い立ったらすぐダウンロードできるわけではありません。
ダウンロードしたいファイルを選択してから、実際にダウンロード可能な状態になるのに数時間かかるのです。

私のおすすめは、そこそこ手軽に作成・保管できるディスクメディアやHDDに一次バックアップを取って置き、普段必要になった場合にはこちらを利用する。
しかし念の為、Amazon Glacierに全部のデータを放り込んでおく、というやり方です。

Amazon Glacierは本来大企業や政府機関向けのサービスのため、Amazon Glacier自体にはWebから気軽にアップロードするシステムがありませんでした。
今は、一度Amazon S3という「Amazon Glacierより出し入れが容易な」オンラインストレージにWebでアップロードして、S3から自動でAmazon Glacierに移動させるというシステムが搭載されました。とても簡単です。

私の今月の請求は0.8USDでした。

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